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昨日も今日も明日もきっと月は綺麗だな、ちくしょうめ
繋がっている物語は好きですか。
それぞれが独立していて、でも繋がっている。
物語はミステリィが散りばめられて、でも犯人がいるというわけじゃない。
人にある、簡単にさらけださない過去という秘密、ミステリィ。



<蒼空時雨><初恋彗星><永遠虹路><吐息雪色>
以上が2012年8月現在で四作でているシリーズ「花鳥風月
それに蒼空に派生する<INNOCENT DESPERADO>
そして、<残酷><告別><断罪><愛情>からなるのが
2012年8月25日に完結したノーブルチルドレン」シリーズ
すべてメディアワークス文庫から出版されている綾崎隼先生の連作です。

嬉しい繋がりや、辛い連鎖が、それぞれの物語の行間に明示される物語。
それぞれが繋がって行くので、できれば、上記の順番で読んでほしいと思います。


「おめでとう。ちっとも嬉しくないと思うけど、痛みがあるなら、それは立派に恋よ」

人がいれば恋もするし悲劇も起きる。
だけどミステリに犯人なんて、いらなかった。

「もがいて、苦しんで、のたうち回りなさい。落ちるだけ落ちて初めて気付く想いもある。どうしようもなく寂しくなって、ようやく求めてしまう温もりだってあるわ。――のお陰であんたは大人になれたのよ」



新潟県の豪族、舞原家と千桜家に生まれた子供たちの物語
それを幾重にも織重ねながら描く物語だと言っていいのかな。
まぁそれは物語の背景のようなもので。
だけど因縁はいつでもどこかで簡単に絶対に追いすがる。

それぞれがそれぞれ、痛々しい人たちが痛々しい想いに痛みを重ねて痛みを味わう
そして、その先で、しっかり安らいだり、痛みを抱えて、それでも歩きだしたり。

何もかもが痛い、そんな物語群だと思います。

みんなが幸せになるってわけじゃない。
だけど、みんなが幸せになれる、そんな物語の着地をみせます。
繰り返しますけど、みんなが幸せになれるわけじゃない。

そして、是非、<ノーブルチルドレンの愛情>に辿り着いてほしい、と。
「現代のロミオとジュリエット」だなんて木端恥ずかしいキャッチが飾られる
まさにイタさの集大成みたいな「ノーブルチルドレン」シリーズですが
そこにあるのは、和らがない痛みを優しく撫でるような、そんな切なさでした。

まるで、これまでのシリーズにあった痛みを拾い集めるような<愛情>。
ここまで「読んでよかった」と思えた本は正直、久しぶりでしたですよ。
それぐらいに悲劇を前提としたうえでの<愛情>の着地は、
特にどこに着地するか分からなかった琴弾麗羅の【機微】は、
きっとどこまでも素晴らしいものがありましたと思います。




10代っていう、無敵の無謀さと、正しさにも優しさにも言い訳がいらない世代
20代っていう、今だから理解できる呪いにも似た自意識過剰。
そしてそれからの人生へ。

みんなが幸せになるってわけじゃない。
だけど、みんなが幸せになれる、そんな物語の着地をみせます。
繰り返しますけど、みんなが幸せになれるわけじゃない。

それぞれの着地。そこにある痛々しいほどのイタさ。
それでも、人は前を向くし、そこにまた意志もうまれる。


―――そして、幸せになれる。


この本を心から楽しむことができる心が残っていて、良かったと思います。

おれは<ノーブルチルドレンの愛情>、心から押します。とても素敵な本です。
だからそれを最大限に楽しむために、綾崎隼先生の本を心から押します。
たとえ希望なんて無いとしても。泣いていても。

やっぱり優しさは、誰にも負けない。
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2012/08/25(Sat) | オススメるセレクション | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
平方根
ちょっとまだ年内は悲惨ルートなんですけど
それはともかく、個人的にはうすた先生に並ぶ
そんなギャグ漫画家だった方のコミックスがついに出たということで
ちょっとだけ触れておこうかと思います。

角川コミックス・エース・エクストラより出版されてます

残念博士

瀬野反人せんせいの漫画です。
詳細は塩と気圧、で検索すればwebまんがページに行けるのではないでしょうか。
笑いの文脈としては、本当にうすた先生とならんで参考にしています。
そういうわけで、超オススメです。

ギャグマンガはオススメするのが難しいですね。
2011/12/04(Sun) | オススメるセレクション | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
真実よりも本当に大切な未来と
城平京先生の完全新作小説が
講談社ノベルズから出ているなんて
知らなかったよ!!



くそぅ、わりと頻繁に本屋へ
通っているつもりだったけど
完全にノーマークだったぜ。

ていうか自分の情報収集能力にもがっかりだぜ。

絵惚れしている清原紘先生のブログを見ていなかったら
いつまで気づかないつもりだったのかと鳥肌ものだぜ。

はい、そういうわけで

「名探偵に薔薇を」以来の城平京先生、完全新作小説。
小説版・スパイラル~推理の絆~(全四巻)から数えても、
いやまじでどれだけ待ったことか!な新作小説。

重ねてもう一度。
城平京先生の完全新作小説
虚構推理 鋼人七瀬

感想です。全編ネタバレします。
未読の人は本屋さんへ走ってください。
そしてでかい本屋で「城平京」を検索し
以下の本を探してごらんあそばせ。



名探偵に薔薇を
ちょっとグロい遊びがあって救いがないけどオススメです。

小説版・スパイラル~推理の絆~「ソードマスターの犯罪」
推理で剣道の達人に挑むっていう無茶苦茶を【通した】物語、オススメです。

小説版・スパイラル~推理の絆~「鋼鉄番長の密室」
そもそもこの小説をオススメする為にプログ開設したはずなのに。オススメです。

小説版・スパイラル~推理の絆~「エリアス・ザウエルの犯罪」
している事は虚構推理とわりかし似通っていたりな熱さ、オススメです。

小説版・スパイラル~推理の絆~「幸福の終わり、終わりの幸福」
うちのブログ名はこの小説の四章に敬意を示しています。オススメです。

虚構推理 鋼人七瀬
待ちわびた!オススメです!!


そういうわけでネタバレしているので未読の人はターンバック推奨
そしてゲットバックヒアァ。既読の方は続きを読むからどうぞ。

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2011/05/12(Thu) | オススメるセレクション | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
だからもう大丈夫
もしも人種も国境も超越した、定義しない文化がrockだとして。
思うにhiphopの定義は、現状を受け入れた上で、自由に振る舞う文化だと。
freestyleという言葉に象徴されるように、社会に否定するでも反論するでもなく。
ありのままの自分を模索するということ。表現するということ。

誰かの都合を言い訳にしたり優先したりしないということ。

rhymesterのアルバム、pop life
あえての「pop」という言葉選びに込められた、
ハジケてんぜというワンフレーズがシンボル。

ビートにぴっとり寄り添って歌えない言葉と言葉を音に乗せて。
他のジャンルの音楽の歌詞に比べて、圧倒的に情報量が多いラップだからこそ。
その言葉を届けることを優先したアルバムだなぁと思います。

言葉を届ける努力をする行為をセルアウトだと云う奴は何にもわかっていないんだ。

hiphopに於いて、selloutを自分は「他人の顔を窺う行為」だと思います。
別に売れ筋のmelodyにのせて恋愛や友情を歌うことが即ちselloutでは無いと言うこと。
言い訳の言葉だったり、御都合主義の慰めに逃げる行為、
つまり決して譲れない己の美学が感じられない真似を後ろ指さして、selloutであると。

ライフサイズのhiphopとは良く言ったもので。
ていうかマジに見事なキャッチコピーだと思うわけですが。
このアルバムにある言葉は、どこまでも誇り高い美学に基づく言葉たちです。

バカみたいに思える言葉にも、はっきりと込めた蔑みの意図にも。
全てがこうあるべきと人を馬鹿に導くような言葉なんかじゃあなくて。
ただ、ただ自分の足場を固めるだけの言葉の数々。
自虐っぽく見せてる部分も、しっかり前を向いている。

前を向きたい人に肩の力を奪ってくれる。
すげえ優しいアルバムです。
まじドススメです。


続きを読むから、曲ごとの感想を。
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2011/03/08(Tue) | オススメるセレクション | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
陽射しは傾いて影は差して
今月はわりと沢山と本を読んだわけですが
ちょっとその中でも、語りたい感じの本があったので
それについて語ろうと思うわけです。

ケータイ小説という言葉が流行ってもう結構になりますが
ぶっちゃけライトノベルなみに意味わかんねー言葉で
ていうか、どっちにしろオレん中にある定義では、
あんましケータイとかの部分に対した価値がないわけで。

ケータイ小説って、俺の中の定義では、「リアル」って言葉に集約されるわけで。
それは例えば「あたしのリアル」で生きている人が「現実のリアル」に苦しんで
「リアルに夢」とか「リアルな願い」とかがあって、
でも結局「リアルなリアル」とやらが立ちふさがる、みたいな。

まぁケータイ小説を読んだことないんですけど。

てかそういう話は好きじゃないので読みたくない。
でもそれは趣味とか嗜好の話であって、
だからオレはケータイ小説だからどうとか
そういうのはわりとどうでもいい理由で、
そういう本を遠ざけてきたわけですが。

ちょっとね、
読んでしまったわけですよ。
そういう類の本を。


それがつまり、太宰治斜陽


たぶん、国語の先生とかが聞いたら
マジギレして熱く「それは違う」とか語られても
それはかなり仕方ないと思いますけど。

でも、斜陽の中で描かれていることは、
かなり「リアル」という言葉がしっくりくるわけで。
最後の貴婦人である母
恋と革命を掲げて動き出した娘
麻薬に溺れて壊れてしまった弟
全て茶番のような人生を歩む作家
全員が求めた破滅。

それは、たぶんケータイ小説のあらすじにあるような内容と本当に大差ない。
そして、非常によくできている。これは本当に究極によくできている。

だから読後感は「すげーケータイ小説読んじゃったよ」なわけで。

本当に、今まで遠ざけていたのだから当然ですけど
読後感がこういう本は初めてでした。
弟の遺書なんか、とても独りよがりで、独りよがりだから納得できて。

というか遺書の中で弟が平等の概念を卑しいものと断ずる姿勢は
本当にオレが漠然と感じていた思想をがっつり言葉にされていて
かなり焦りました。まぁそれはともかく。

それでも誰の考えもすべてが共感できるものではありません。
納得してしまっていいことはなにひとつとしてありません。
必ず、どこか脳で弾かないといけないような言葉があります。

少なくとも、この本から文学的な価値とやらを見出すことはできん
間違いなく、非常によくできた、異質な、ストーリーです。
たったそれだけの価値しかなくて、神格化するような要素はどこにもないんです。
もしも神格化している人がいたら、目を覚ませと冷たく言い放って終わる程度です。

だけど、破滅に向かう意思だけは、否定しちゃいけない。
そういう動機で、前を向いて生きることを恥じちゃいけない。


それはまるで自分が自分でいて、いいんだという姿を模索するように。


人が自分であるということを疑いたくなってしまう弱さや迷いに
そっと手だけを差し伸べるような優しさがあるかどうか。

なんというか、この物語は都合の良さばかりを追い求めがちな一般的意味とは違う
真の意味での優しさというものを試されている気がする。

太宰治の斜陽。
決して面白くはないし、傑作や名作というカテゴライズのものではない。
所詮は古い話で、あくまで古臭い物語で、どうしても古惚けたストーリー。

だからこそ、今とは違うからこそ、繰り返して強調します。

この本を読んだ後の感情で、自分の優しさの底はわかると思う。
俺らがどこまで優しい気持ちを抱けるかどうか。
許さないことがどこまで正しいのかと問われているかのように。
それは非常に熱い本だと思うわけです。
2011/01/30(Sun) | オススメるセレクション | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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