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世界で一番好きな本の話
最近は、小説ってジャンルの中で惹かれる本がなくて困っています。
「普段あまり本を読まない→薦められた本だったり気になった本をがっつり読む」
っていう小説の選び方を特に自分の場合はしていたせいもあって、
小説という分野において、あまり「勘」というヤツが鍛えられていなて所があります。
コレが漫画だったら、たぶん本気出したら
ジャケ買いでも九割方面白いのを引く自信があります。
マンガなら直感で、コレ、という本を選ぶ自信があるわけです。
ですが、小説ではそれが出来ないのですよ、自分は。

さらに小説の場合は、「ベストセラーってのは、本を読まない人が読むもの」
だと強く考えている信念があるので、そういう「売れてる」って噂話とかは、
マンガとかゲームを選ぶときと違って、アテにしようとしていない、ってのも大きいかもしれません。
あと、本にお涙ちょうだい的な感動は求めていないですし、
そういう類のキャッチコピー張られても、ぐぐっと来なかったりも大きいです。
それに別に奇抜なトリックが見たくてミステリとか好きなわけでもないですしね。
色んな言い訳のせいもあって、最近本に、なかなか出会えません。
それはもう、とてもとても困っているわけです。
外見で中身が判断できないのも大きいです。
早い話、自分は、選ぶときに一歩踏み出す基準が小説において明確にもってないのですよ。

求める物語があって、好きな物語があります。
正直、小説っていう分野において自分が求めるハードルはある意味とても高いです。


しかし社会人になって、県マタギ通勤っつー馬鹿みたいな時間の使い方をしていると
やっぱり活字中毒が発症して禁断症状の余り、本がないと死にそうになるわけです。
これまでだったらネットなりでその欲望は満たせたわけですが、
電車、それも半分以上が地下鉄だと、そんな環境下でのネッティングは
ただでさえ限界のあるケータイの臨界点突破して、
ストレスゲージがメルトダウンしてしまいます。
それはもはや世界滅ぶ勢いです。

そういうわけで、「読みたい面白そうな本が心当たら無いなら、面白いって知ってる本を読むわー」
ってな具合で最近は昔馬鹿みたいに読んでたある作家先生の本を引っ張り出して
再読を繰り返す日々が始まりつつありますわけです。



好きな本を語る練習をしようと思います。
本当に、「知らない」人に自分の趣味嗜好を語るのがヘタクソなので。
今日は、色々と思うところもあって、自分が一番好きな本について、語ろうと思います。

求める物語があって、好きな物語があります。
正直、小説っていう分野において自分が求めるハードルはある意味とても高いです。
しかし同時に自分が「小説」ってジャンルにおいて、どこか諦めを持っていたりもします。
そういう風に確固として思うようになったのは、全て、とある小説との出会いからでした。
その本は、自分にとって「完成形」の物語でした。
一冊の本という条件化で、演出構成内容、全て完璧でした。
初見の時もそう思いましたし、この前読んだときも同じ感想を抱きました。

自分がずっと書きたいと焦がれて足掻いてもがいていた
全ての要素が理想が現実としてマジにそこにありました。


本の名前は「サムシング・ブルー」
書いた人は「シャーロット・アームストロング」
出版元は、「創元推理文庫」
ただし、今は絶版のハズです。
実際、自分は古本屋を何軒も、いいえ、何十軒と徘徊して、
ようやくカタスミで見つけましたよ。


自分がこの本と出会うきっかけをくれたとある作家先生が、
その文章の中で作者のことをそう評していました。
「とてつもなくうまい」と。
それ以上の言葉はありません。
とてつもなく面白いかどうかは個人の感性です。
ですが、自分の正直な感想を真っ直ぐに言うと、以下になります。
「百人が百人、それぞれの登場人物に同じ感情を抱くことになる」
それが、うまさ、というコトバに繋がります。
そう思わされる、強烈な魔力ともいうべきチカラが、この本にはあると思うわけです。
あらすじは、全てが綺麗な一本の線で繋がっているせいもあって、とても複雑です。
ですが、精一杯コトバにすると以下になります。


将来は結婚も考えていたガールフレンドと帰省がてら久しぶりに再会したジョニーは、
ガールフレンドのナンから、別の男との結婚を突然宣言される。
精一杯感情を押し込めてかろうじて作り笑いで婚約を祝福するジョニー。
妹であるナンの強引で自分本位な結婚を快く思っていない姉のドロシー。
せめて育ての親である叔母のエミリーが旅行から帰ってくるまでは結婚を延期すべきだとドロシーは主張するも、夢の世界にすっかり酔ってしまっているナンは聞き入れない。
そんな中、旅行中の叔母から電話がかかってくる。
電話で婚約を報告するナンだが、「相手」の名前を聞いた途端、叔母エミリーの態度が急変する。
「そいつと結婚してはだめ!」「帰るわ、飛行機でできるだけはやく」
そんな、久しぶりの再会の喜びを吹き飛ばす混乱と混乱が、全ての始まり。

徐々に明らかになる真実たち。

そして「新たに」起きた事件の犠牲者は、
勝利感と敗北感を噛みしめながら、死の間際にこう思った。
これが証拠だわ!とうとう証拠を!
そして、それを誰に伝えるでもなく死んでしまいます。
真犯人を犯人であると確証を持てるのは、読者だけ。

アリバイを崩し、犯罪を実証しようと翻弄するジョニーは、
自分が嫉妬に狂って、自信に都合の良い方向へ行こうとしているという葛藤と、
たとえどう思われようが、ナンを「殺人者」と結婚させてはいけない!
という、当たり前の気持ちとがせめぎ合い苦しみながら、足掻き苦しみそして。



娘は自分に巨額の財産があることも、
両親が本当は事故死したのではないことも知らなかった。
そしてもちろん、婚約者の狙いが自分の財産であることも、
その男が十七年前に自分の母親を殺した真犯人だということも、
また分かってはいなかった。
その事実を知った青年、ジョニーはかつての恋人を救おうと苦闘するのだが……。
”現代の魔女”と評された、名手アームストロングの会心作。
(表紙裏のあらすじより抜粋)



ミステリという手法がラブロマンスという荒業に平伏すシーンは
自分にとって、圧巻以外の何モノでもありませんでした。
トリックが希望を繋ぐ程度にしか役に立たないのがサスペンスを彩っていきます。
人の心を描くのが、人の心の動きを描くのが、とてつもなくうまい本です。
皆が過去にやましさを持っていて過ちを犯していて。
そんな人間が、ジョニーの孤軍奮闘の影響でかき乱され、
ジョニーのお陰ではなく、自身が顔を上げることで、徐々に目を覚ましはじめます。

それでも希望が全て、絶望で塗り替えられていくます。
ですが、それでも、ジョニーが決して許してはいけないことがひとつ。
「ナンと、遺産目当ての殺人者にして母の敵との結婚を許してはいけない」
たったそれだけの、自己満足とも言える、優しさ。

はじめは確信がないところから、一切の証拠が無い状態から話が進みます。
疑惑や状況証拠ばかりが増える中で、決定的なナニカ、が足りないまま話は進みます。
そして、事態は逆転したとき、最悪の方向へ、転がってしまい。

二転三転する展開は最後の最後で、決して優しくない展開にたどり着きます。
「いずれなにもかもよくなるなんてことはないよ」「そんなことは夢物語だ」
そういう終わり方をします。
その先にある、絶品の読後感を、本当にいろんな人にしってもらいたいと思います。
どうか、前向きな夢を。
バッドエンドにしない甘さと、ハッピーエンドにしないうまさと。


はっきりとしたコトバにする気は一切ありませんが、
自分の夢のひとつに数えるぐらいの思い入れが、この本にはあります。
とても大切な本です。
ネット活用したら簡単に見つかるかもしれませんが、
本屋とかで取り寄せが不可能な以上、なかなか入手のめんどくさい本ではあると思います。
が、本当に、自分が心から好きな本が、「サムシング・ブルー」です。
これまでは意図的にこうして言葉にするのを避けてきたんですが
なぜか今は声を大にして言いたい気分です。
きっと立ち向かう気分なんでしょう。
もう一度だけ言います。
はっきりとしたコトバにする気は一切ありませんが、
自分の夢のひとつに数えるぐらいの思い入れが、この本にはあります。
世界で一番好きな本です。
いつか願いとか希望を叶えるために、夢にしてしまわないために、はっきりとはコトバにしません。
ですが、そういう本が、自分の奥にあるわけです。



さて。
そして、知りたいことが、是非教えてもらいたいことが、ひとつ。


―――あなたに、世界で一番好きといえる本はありますか?

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2008/11/21(Fri) | オーバー十代語り場 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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